パライバトルマリン:コレクター垂涎のアイテム

こんにちは、そしてこんばんは、窓際投資家です。

今日はパライバトルマリンについて、少し気になったので書いてみたいと思います。某深夜番組で取り上げられたこともあってか、日本人では結構好きな人も多いようなので。

ただ、私は持っていないし当面買うつもりはありません。資産運用目的では買いではないと考えています。

どんな石?

1989年にブラジルのパライバ州で発見された、銅やマンガンを含むことでネオンブルーに光るトルマリンの一種。

様々な色のトルマリン
トルマリンはカラーバリエーションが豊富

南国の海の色みたいな色をしたやつが最高品質とされ、高級ホテルのプールの色みたいだということで、プールカラーと呼ばれます。

丁度アイキャッチ画像に使ったような奴がまさにプールカラーですね。もう一度貼っておきます。写真映りで印象かなり変わるけど、これかなり良い石じゃないかな。

パライバトルマリンの指輪
これがプールカラーです。

産地

ブラジル、ナイジェリア、モザンビーク。

発見されたブラジル産の、特にバターリャ鉱山産が最高品質とされていますが、ブラジル産のものは発見から僅かな期間であらかた掘り尽くされてしまいました。

今世紀になってから、ナイジェリアやモザンビークでも発見されましたが、ブラジル産より明らかに色が薄くて緑っぽく、品質面で劣る感じです。最高色のものはやはりブラジル産。

希少性

ルビーやサファイアより断然高いです。

産地が限られる上に、特にブラジル産は発見からすぐに枯渇気味になってしまった訳ですから。

投資に向くのか?

正直、分かりません!

ただ、私の考えとしては

コレクターズアイテムとしては垂涎モノだけど、投資には向かないのでは?

と思います。

分かりませんが。(2回目)

とりあえず、そう思う理由を書いていこうと思います。

資産価値を持つには社会全体での思い込みが必要

口酸っぱく言うようですが、カラーストーンなんかはただの石ころです。

こんなどうでも良いようなものが資産価値を持つためには、一種の共同幻想が必要になります。

裸の王様の話で例えれば、王様は裸じゃねーか!って言う人がいても、それはお前の心が汚いからだって周りの人がみんなでボコってそれ認めない…という状況が一度はできました。この状況が必要となります。

カラーストーンの場合は、

これただの石ころやん。こんなのに何百万も出せるかよ!

お前アホか!こんな綺麗な宝石を石ころとは何事か!

ってみんなで叩く。こういう形ができる必要があります。

(裸の王様はその後裸であることがみんなにバレるという、なんとも微妙なオチが待っているのですが…)

思い込みを作る条件とは

程良い希少性が重要

確かにパライバトルマリンは綺麗な宝石だと思うし、希少価値ももちろん高いけど発見されてまだ30年ちょっとしか経っておらず、こういう社会的思い込みができているのか甚だ怪しい訳です。

今後、これを作ろうとしたら、

宝石が資産価値を持つ条件
  1. 発見される(クリア)
  2. 世の中の一定数の人に行き渡り愛用される(今ここに挑戦中)
  3. 持つことが上流階級の習慣・ステータスになる
  4. 既存の思い込みや伝統を一部崩す
  5. やがてそれが新しい思い込み・伝統になる

というステップを踏む必要があります。希少性が高すぎると2段階目で躓くし、逆に希少性がないと3段階目で躓きます。

希少性は高ければ良いってものではなく、人が有難がって持ったり集めたりするようになるのに丁度良い希少性ってのがあるんです。

また、2段目や3段目をクリアできても、4段階目には一定の時間がかかります。

例1:金

これは宝石に限ったことではありません。

金貨
金自体に大した価値ありません

例えば金ですが、人類の歴史の中で通貨や資産として確固たる地位築いてますが、あれもただの黄色い金属です。

実需はそこまで多くないし、あれに7000円/g近い値段が付いていること自体が社会的な思い込み以外の何物でもありません。

じゃ、なぜ金はそんな美味しいポジションに就くことができたんでしょうか?

例えば、プラチナは産出量を見ても金より一桁少なく希少性はもっと高いはずです。また、パラジウムやレニウムのようなレアメタルも地殻中の存在量は金と大差なく、産出量は金より圧倒的に少ないので十分に希少性はあります。

ですが、これらの金属は金のような通貨的な地位は築くことはできずにいます。

理由はいくつかあるのでしょうが、金は人間が資産として認識するためには丁度良い、ほどほどの希少性を持っていたことがやはり大きいのではないかと思います。金は自然界に単体で存在していて一定の量はあるので、金属の精錬・採掘の技術を持たなかった古代人でも、頑張って川底とか掘り返せばメタリックな塊を手にすることができました。

この、「頑張ったらぎりぎり手が届く」っていう絶妙のラインが重要なんだと思います。

こんな感じで人類史の黎明期から利用可能だったことから、財産として扱われてきた歴史も長くて先行者利益をも得た…という理屈で金は今日の地位を築けた訳なんです。

例2:ダイヤモンド(ちょっと脱線)

ダイヤモンドのアップ
ダイヤモンド自体にも大した価値ありません

ちなみに、ダイヤモンドはそこまで希少性が高い鉱物ではないんですが、上記の共同幻想を作り上げるプロセスを業界のドンであるデビアス社が主導して人・物・金をガンガン投入しながらゴリゴリ推し進めて来た感じです。

ダイヤモンドなんて埋蔵量も産出量も多いので、本来ならプロセスの3段階目で躓くシロモノだと思います。そこをデビアスの力でマーケティングして産業として成り立たせている…やや極端に言えばそんな感じです。

そして、デビアスは市場のGMとして価格のコントロールもしていますよね…。

ダイヤモンドを投資対象として検討するなら、この状況をどう捉えるか次第ではないかと思います。

仕手株みたいで嫌だと捉えるのか、業界の巨人がダイヤモンド所有者の利益を守ってくれていると捉えるのか次第ですね。

希少性が高すぎてキツい

で、話を戻しますが、結論として私はパライバトルマリンは希少性が高すぎて投資には向かないんじゃないかと思います。

恐らく、上で挙げたプロセスの2段階目で躓くのではないかと思うからです。

それでも買いたいなら

とは言え、以上は私個人の考えで投資に絶対はありません。

パライバトルマリンを投資対象として勧める人だっていますし、基本的に未来のことは誰にも分かりません。

カラーストーンへの追い風

加えて言うなら、カラーストーン投資家全体への追い風も結構吹いてると思います。

カラーストーン投資全体への追い風
  1. 最近は宝石全体として質の良い物が枯渇して取れづらくなっている
  2. 金融緩和と国家財政の悪化で通貨への信用が揺らいでいるため、現金や金融資産を実物資産に代える世界的な流れは当分続く
  3. 今は欧米や中国の富裕層のみの文化であるカラーストーン投資が、アンティークコイン投資のように一般化していく流れになった場合、今はその他大勢扱いされているカラーストーンの中からもスター選手が出てくる可能性も十分にある

なので、お金に余裕があるなら、趣味を兼ねて楽しめる範囲で買うのも考え方としては間違っていない気もします。

買いの条件

もし私が敢えて買うのなら、

買いの条件(自分だったら)
  1. ブラジルの初期のバターリャ鉱山産
  2. プールカラー
  3. 1ct以上
  4. 透明度が低いなど大きな欠点がない

のものを買うと思います。多分、この条件なら500万円以上はするので、懐具合を見てカラット数とか落としても良いのかも知れません。特にパライバトルマリンは大きな石が少ないので。

因みに、パライバトルマリンも加熱処理されて流通されるのが一般的なのですが、ルビーやサファイアのように加熱処理がマイナス評価になりません。

既に枯渇気味な癖に歴史も浅いので、加熱処理によって色味をコントロールする技術がまだ確立されていないからです。そして、鉱山がほぼ枯渇してるんで、このまま技術が確立されないまま終わる可能性が高いと。

要は、同じ加熱処理をしても色味がどう変化するか予測不能で、やったからと言って奇麗になるとは限らないみたいです。

だから、加熱処理されたことがマイナスにならない、ということらしいです。

あとは、パライバトルマリンはその希少性から2級品に有難がって高値が付けられているケースもあるのでご注意を。これを避けるためには、とにかくパライバトルマリンを沢山取り扱っていて店主の目が肥えている店を選ぶことです。

まとめ

基本的には、自分で楽しむために買うのは良いと思いますが、資産運用目的で買うのはちょっとどうなのかな?という気がします。私は。

正直、マニア垂涎の激レアマイナーストーンも結構ありますが、値上がりしているのかというと案外していません。

これが現実です。

やはり、一部のマニアが有難がって持っているだけでは資産価値なんかは持ちえず、社会全体として「これは価値があるものだ」という思い込みができていないと資産運用対象としては少々キツい。

これ買うなら、ルビー、サファイア、エメラルドといったある程度メジャーなカラーストーンの中の、高品質なレア物を狙った方が良いのではと思います。そして仕手株的なものが嫌だったらダイヤモンドは避けるべき。

以上、パライバトルマリンについての投資情報でした。

★スポンサーリンク