「色石は値段が付かない」を逆手に取って節税
こんにちは、そしてこんばんは。窓際投資家です。
少し前、子供への贈与手続きのために、カラーストーンを買取り査定に出した体験談を記事にしました。
一番安い買取り査定額をもとに、贈与税を計算しようという訳です。
何を隠そう、私はカラーストーンの贈与手続きはこれがはじめて。
当たり前か。
子供生まれたの自体、最近なんで。
ある程度理屈は知っていたと思っていたし、税理士と相談しながらやってるのは確か。
だけど、運用上の実態が分からず、
「??」
となってしまいました。
今まで相続や贈与と言ったら、現金や有価証券だけしかやったことなかったしね。
今日はその体験談です。
実物資産を贈与する時の大問題
で…、このミッション、実は一つ大きな問題をかかえていました。
ほとんどの買い取り業者が、見積書の書面を発行してくれないんです。
注:前回の記事書いた後も何社か当たりました。
査定に出しても、対面なら口頭で価格を伝えられ、オンラインならメールで伝えられて終わり。
「その内容を書面にしてくれ」
と言っても、全部ではないですが、9割は対応してくれません。
いやいや…
書面の見積書出してくれないと、確定申告に添付できねーよ…orz
はて困った。
ということで、税理士に電話しました。
以前、贈与手続きのやり方教えてくれた人とは別のおじさんが電話に出て、相談に乗ってくれました。
…事情は分かりました。
で…その宝石の査定額ってどれぐらいなんですか?
専門業者の店に行っても、大概の場合、せいぜい10万とか20万とか。
ただのリサイクルショップ行くと、1万とか2万って感じか、下手すると買い取り不可です。
ただ、一部の良心的な店行けば、100万円近い査定出ます。
持ち込む所によってかなり差があります。
うーん…それ、そもそも申告いらないんじゃないですかねぇ?
そらね、
「宝石贈与するときも確定申告すべきですか?」
って真正面から聞かれたら、私らも立場ありますから、
「必要です」
って一応言いますけど…。
あっ、それ!
一番聞きたかったのそこなんですよ。
申告しなきゃいけないルールになってる割には、余りにも店側が「何それ?」って感じだし。
だから現実的に申告したくてもできないし、何より、現に1万円とか2万円って査定もガンガン出る訳じゃないですか…。
おいおい、これ実態としてどういう制度の運用になってんだよ!?って。
まぁ…実態として、ほとんどの場合、申告してないでしょうねぇ…。
宝石を手渡しして持ち主が変わったからって、それが登記とかされる訳でもないし…調べようないでしょ?
この仕事やってて、そういう申告してる人いるか?って言うと…ほとんどいないですね。
私らがこういう事言ってはいけないんだろうけど…
こんなものの価値を税務署の職員が見抜けるとは思えないです。
何百万円とか何千万円とかの石もフツーに売ってるし、このクラスのもの無申告だったら完全にアウトじゃないかと思ってしまうんですが…
…ルール上はそうなんですが、実態としてはねぇ…。
どうしても後々税務署との間でトラブルになるのが嫌だったら、買った値段で申告しておけば一番確実っちゃ確実ですね。
うーん…かと言ってそれもなぁ…
買い値なんて、店の利益が乗ってる訳ですから、現実的にそんな値段で売れる訳ないし、それはそれで納得行かないんですよね…。
ということで、相談の結果、最終的には
- 贈与契約書だけは作って記録を残しておく。
- その上で申告しない
ということになりました。
怖いぐらいの資産価値のステルス性
…ということで、百数十万円で買ったカラーストーンにかかる贈与税は…なんと…
ゼロ
ということに。
なんかこう…やってる事としてはクロに近いグレーじゃないかと思えるし、なんかモヤモヤしますが…
まぁ、自己判断じゃなく、専門家に相談して決めたことなんで…良しとしておきます。
こういうのって難しいところだなぁ…
私は税務署員でもないし、税理士でもないんで、推測ですが、
額がそう大きくなかったり、
単発の話だったり、
知らずにしてしまった話だったり
であれば、もうギリギリ言う必要もないだろうし、お目こぼしってことで良いんじゃないかと思います。
だけど、相続や贈与のルールをある程度理解した上で、こういう実態があることを知っていて、
大きな額で
繰り返し
確信犯でやる
って話なら問題視されかねない事案なんだろうなぁ…多分。
で、
自分はどっちになるか?
と考えると本当にモヤモヤします。
「ちゃんと税金払おう」って意思はあって専門家にも相談した訳ですが、資産運用や節税や資産防衛を目的としてカラーストーンを持っている以上、私がやると不本意ながら後者になってしまう…。
なんだかなぁ…
裏を返せば、
カラーストーンは、資産価値のステルス性が、持ってる人が怖くなるぐらいに高い。
ってことなんでしょう。
ただのリサイクルショップに持って行った時、散々言われたのが
「色石は値段が付かない」
という言葉です。
大半の業者がそういう判断しつつも、一部に価値を認めてくれる優秀な業者がいる。
だから見た目上の財産評価額を圧縮できるし、換金しようと思ったらそれなりの額に換金できる。
…ここがカラーストーン使った資産防衛のミソでもあるし、投資に関心が薄い人や知識のない人には扱いづらい投資対象になってしまっている要因なんでしょうね。
平時においてですらこんな有様だったら、預金封鎖して資産課税しようったって、カラーストーンで持ってる人に課税するのなんてほぼ不可能だと、今回の件で改めて思いました。
可能性はそんな高くないと思いますが、仮に1946年の緊急金融措置令みたいなことを今後やるのであれば、国民に対して不意打ちでないと効果出ません。
そうなると、精度よりスピードが求められるハズで、平時ですらまともに課税できてないものに課税するなんて無理でしょう。
恐るべし、カラーストーン。
出口戦略にはかなり注意が必要
また、改めて思ったのが
カラーストーンの売却には相当注意が必要
投資に興味のない人や知識のない人に出口戦略を任せると危険
ということ。
間違っても、町のリサイクルショップなんかに持ち込んではいけないし、宝石専門の店でも、その多くは平気で小売の1/10とかで買い叩いてきます。
どんなに良い投資対象選んでも、出口でそんな値段で買い叩かれたのでは、最後の最後で全てがパーになってしまいます。
相続や贈与を考えるなら、そんな悲劇的結末を避けるためにも、受贈者にしっかりこのあたりの情報を引き継いでおきたいものです。
或いは、相続や贈与を前提とするなら、カラーストーンのような扱い辛い投資対象は避けるか。
どっちかだろうな…。
過去の記事でも何度か書いてますが、出口戦略で持ち込むべき場所は…
優秀な人がやってるごく一部の個人商店(チェーン店は絶対やめとけ)
もしくは
海外の富裕層向けのオークションハウス
絶対にこの2択。
それ以外はない。マジあり得ない。
幸いにも、私は住んでいる市に信用おける個人店見つけたんで当面良いんだけど、
海外の富裕層向けのオークション使う手もあるかな?
と最近は思います。
落札結果見てると、国内買取業者がいかに安値で買い叩いてるのかよく分かるし、堂々と資産と呼んで良いようなシロモノなら、絶対にこっちに出すべきだろうなと思います。
実物資産関連だと、最近はクリスティーズやサザビーズが、日本法人作って東京や大阪に支社作ってて、日本人向けのHPからアカウント作れるようです。
カラーストーンに限らず、利用する手はあると思います。
それなりの手数料はかかりますが、闇雲に良心的な個人店探すより、確実っちゃ確実かも。
今後はこういうのが一般化して宝石買取り業者なんて滅ぶかも?
ってか、あいつら、完全未使用品を小売価格の1/10で買い叩くとか、どういう神経してるんだ?
利益取らなきゃやってけないのは理解するけど、いくらなんでも暴利取り過ぎじゃないのか。
アンティークコイン業界だと、ただのリサイクルショップに持ち込んだ場合はともかく、専門店でここまで酷いことしてくる業者はいませんよ。
まあ、私はそんな悪徳業者のお陰で節税できたんですが…。