タンス預金をしてもダメです
こんにちは、そしてこんばんは。窓際投資家です。
昨今の政府の動きを見ていると、銀行口座とマイナンバーの紐付けをしたくて仕方がない感じです。
実際に実行するのか否かは別問題だろうけど、何らかの形で財産課税したいとは思ってるんでしょうね。
ネットサーフィンしてると、これを見透かして、
今のうちに、銀行預金を怪しまれないように少しずつ引き出して、タンス預金にしておいた方が良いかな?
と考えている人が少なからずいるように見受けられました。
でもこれ、あんまりお勧めできる手ではないと感じます。
「銀行や政府が信用できないから、手元に財産を置いておきたい。」
とお考えなら、もっと別の手を使いましょう。
財産課税とタンス預金あぶり出しはセット
まず大前提として
現在の通貨は、ほぼ無価値と言って良い紙切れや金属の塊に、国家が通用性を保証して通貨として機能させています。
故に、タンス預金なんてものは、国がその気になればただの紙くずや金属ゴミにすることができます。
タンス預金の最大の問題点はここです。
で、財政が火だるまになって首が回らなくなった国が、国民から財産を取り上げようとする時のありがちな話としては…
STEP1:預金封鎖をして銀行から預金の引き出しを制限(預金封鎖)
STEP2:「通貨を新しくします。」
「今の通貨はいついつまでしか使えません。」
「それまでにタンス預金は銀行に預けてね。」
と宣言し、タンス預金を全て銀行に回収する。(通貨切替え)
STEP3:国民の財産を銀行口座から没収(財産課税)
という感じですかね。
1946年には日本でもやらかしてるし、最近ではブラジル、アルゼンチン、キプロスなど。
意識しておきたいポイントとしては、財産税をかける時は多くの場合、預金封鎖と通貨の切替えがセットで行われます。
タンス預金を炙り出した上で課税しないと、税金の取り漏らしが出るし、不公平感も残りますからね。
まぁ…今の日本でこういうパニック映画に出てきそうな事態が起きるか?っていうと、そう可能性は高くないと思います。
ただ、今の時代なら、
STEP1:マイナンバーに口座情報、スマホ等の通信機器、不動産や車両の所有情報を紐付け。
STEP2:現金を完全に廃止してデシダル通貨に移行。国民の資産状況やカネの流れを全て政府が把握。
STEP3:固定資産税みたいな感じで、保有財産のコンマ何%かを毎年税金で取られる。
…みたいな形に、今後何年もかけて少しずつ移行していくってシナリオであれば、十分にあり得ると考えます。
「十分あり得る」というか、個人的にはこれがメインシナリオじゃないかと思ってるんですが…。
そして、マイナンバーという便利な課税ツールを手にした政府は、この税率を間違いなく少しずつ上げてくると予想します。丁度、今の消費税みたいに。
で、まぁ、これにしたって現金を廃止することでタンス預金を炙り出すことが前提にはなる訳ですよ。
もう一度言いますが、財産税をかけるためには、これをやらないと適切な課税ができませんからね。
なんで、マイナンバーで見えない場所に財産を置いておこうって考えは間違いじゃないにしても、タンス預金というやり方はちょっとマズイんじゃないですかね。
どんな財産なら対策になる?
対策としては、お金を実物資産に換えて持っておくことです。
基本、何でも良いと思うんですが、
- 国家権力で価値を操作できない
- 手元に置いておけて、いざとなったらハンドキャリーで持って逃げられる
という条件は絶対です。
さらに欲を言えば
専門知識がないと、お宝かガラクタか判断ができない
もしくは
売買情報が税務当局から捕捉困難
という条件も備えていたら、完璧だと思います。
詳しくは↓の記事で書いています。
金地金はそう安全ではない
例えばですが、金のインゴットとかだと、200万円以上の売買情報は税務署に行くルールになってるし、保有量が分かってしまえば資産価値もすぐ分かります。
なんで、ゴールドのインゴットは、金融資産に比べたらややハードル高いものの、登記情報のある不動産とともに、金融資産に次いで狙われやすい実物資産と言えます。
現に、100年前の米国では、国民が保有する金を政府が没収する事件が起きてますし…。
コンパクトな富裕層向けオークションアイテムが鉄板
対策として、まずは、富裕層向けのオークションに出しても恥ずかしくないコレクターズアイテムで、比較的コンパクトで持ち運びが可能なものがお勧めです。
私のように、アンティークコインやカラーストーンを持つのも良いと思います。
これなら、保有していることが分かったとしても、お宝かガラクタか判断できません。
これがミソです。
カラーストーンやアンティークコインなんて、9割以上のものは投資対象になり得ず、買い取りに出しても二束三文です。
そして、資産価値のあるものであったとしても、専門知識のない一般的な質屋やリサイクルショップに持ち込んでしまうと、やはり二束三文を提示してきます。
資産価値のあるものをしっかり選んで買い、かつ、専門知識や相場観のある買取り専門業者のところに査定に行った時のみ、高額査定が付きます。
これが私がよく言っている、資産価値のステルス性です。
まぁ、この世の中、絶対はないです。
こういうコレクターズアイテムも、現状、相続税や贈与税の対象にはなってるし、こういう時は見積もりを取って申告です。
保有資産の時価を逐一トレースする手間さえ惜しまないなら、固定資産税みたいな感じで課税することも、1946年の緊急金融措置令みたいに、有無を言わさず取り上げることも不可能ではありません。
だけど、やっぱりめっちゃ手間かかるのも事実。
この手のものは課税するハードルが高くて、優先度が相当下がると思われます。
別に、コインや宝石でなくても良いと思います。
もし、コレクション趣味があるなら、その延長でやってみるのも一つの考えだと思います。
まぁねぇ…サザビーズやクリスティやヘリテージの富裕層向けオークションのサイト見たら良く分かりますよ。
絵画に何十億円とか、
ダイアモンドに何億円とか…
なんでこんな値段が付くのか?
って話ですよね。
これ買ってる人たちは、単に
「名画が見たい」
「ゴージャスなジュエリー身に付けたい」
という気持ちだけで、こんな金額で入札してるんでしょうか?
違います。
これは海外の超富裕層の資産運用であり、課税され辛い形に財産を換えるための行動なんですよ。
マイナンバー的なものは海外にも割とあって、フランスとかスイスとか、財産税を課している国もちょいちょいあります。
こういったものを回避して節税する手段として、超高額なこういうオークションアイテムが利用されているんですよね。
もうね、このあたり見ていると
上に政策あれば、下に対策あり
だなぁって感じます(爆)。どうやったって、金持ちは上手いこと回避しますよ。
貧者の金:安物の銀貨
「資産規模が小さくて、単価数百万円のアイテムを買う訳には行かない」
…というなら、数千円で買うことができる安物の銀貨もお勧めです。
メープルリーフ銀貨やブリタニア銀貨、ウイーン銀貨あたりが有名ですかね。
安物の良い所は、
単価が安いが故に、余程まとめて買ったりしない限り、まず怪しまれることはない。
ということです。
数千円や数万円の取引に一々目を光らせてられるほど、税務署も暇じゃないんで。
こういうのを、お金ができるたびに少しずつかって、家のタンスの中に備蓄していってはどうですかね??
で、こういう安物銀貨の出口戦略としてお勧めしたいのが、物々交換です。
預金封鎖食らって現金が使えなくなったら、自宅で保管していた安物銀貨を物々交換のネタにして生活必需品を手に入れるんです。
大手チェーンでは厳しくても、商店街の個人商店レベルだったら、対応してくれそうな気がします。
対面フリマや、田舎の農産物直売所なら絶対イケると思います。
厳密に言えば、物々交換でわらしべ長者的なことをした場合、雑所得で申告は必要です。
イメージとしてはこんな感じか。
ただ、現実問題として、特に田舎では畑で取れたものの物々交換なんて日常茶飯事ですが、こんなの一々申告する人いません。
雑所得も、年間20万円までなら申告義務ないし、多少足が出たところでそれを確認するのほぼ不可能だし、こんな小さな脱税を一々摘発してられるほど税務署も暇だと思えない。
私が知っているコイン商に聞いた話では、最近は同じことを考えている人も結構いるらしく、安物の銀貨をミントケースごと、人によっては数百枚入りのキングボックスで買っていく人もいるようです。
キングボックスなんかで買ったら、持ち上げた拍子にぎっくり腰になりそうで怖いですが…。
同じ発想で、タンス預金はタンス預金でも、米ドルやユーロなど、外国通貨の現金をタンス預金しておくのもありっちゃありです。
ただ、銀貨のように物々交換でスンナリ受け取って貰えるかとなると、マイナー通貨とかになると苦しいかも知れませんね。