新築住宅買う奴は心も財布も貧乏になる
こんにちは、そしてこんばんは。窓際投資家です。
世の中には色んな「普通」が存在します。
そして、人の意識には現状維持バイアスがあり、社会の変化より人の意識の変化は遅れたものになります。
この国にも、化石のような「普通」が人の意識の中に沢山残っています。
- アラサーで結婚
- 家計の大黒柱は男性
- 家事は女がやるもの
- 子供は二人
- 子供には習い事させるもの
- サザエさんみたいな家族を持つ
- 新築住宅を買う
- 年収500万
- 課長ぐらいまでは出世
- 新卒から定年まで1つの会社
- 車は一家に1台
- 年1回は家族旅行
等々…
衰退途上国においては、先進国時代に形作られた「普通」が衰退の進んだ社会の中でも残りがちで、それが国民の首を絞めてしまうことが多々あります。
個人的には、その最たるものが
「家族を持てば新築住宅を買うもの」
という高度成長期に形作られた「普通」だと思うんです。
それこそ、現代社会の「普通」サラリーマンが、こういうオーバースペックな「普通」に囚われて生きていると、心も財布も貧乏になってしまう気がしています。
Contents
全否定はしません
最初に断っておきますが、私はローン組んで新築住宅買うことを全否定してる訳ではありません。
- 身の丈に合った買い物である
- 人生のリスク許容度に対して大きすぎる買い物ではないのか?
- 自分の人生にとって本当に必要か?
- 他のより安価な手段で目的を達成できないのか?
- 同調圧力や見栄による消費行動ではないのか?
というところをちゃんと検討した末に購入を決断してるのであれば、他人がとやかく言うことではないとは思うのです。
ただ、私の周りを見る限り、大多数の人がこういう検討を行わず、同調圧力や見栄で、または何も考えずに購入を決めている印象で、これが大問題だと思っています。
まぁ、こんな頭の弱い人が人生詰もうと、知ったこっちゃないわ!って気もしますけどね。
いい加減なリスクマネジメント
不確実性に満ちた現代社会
大体、5年先見通すのさえ難しいこのご時世で、何十年も今の処遇のままで働き続けること前提で長期ローンを組むなんて、リスク管理上問題ありすぎると思います。
交友関係が狭い私の周囲見渡しただけでも、会社生活の途中で想定外の改悪パッチが入った事例には枚挙にいとまがありません。
ケース1
実は、私が新卒で入社した会社だって、2000年代前半まではイケイケのホワイト企業だったという過去があります。
その後、市場での独占的な地位に胡座をかいてしまったり、会社の規模が大きくなったことでコンプラばかり気にするようになったり…で、攻めの姿勢を失ったことからジリ貧になって見事にパープル化しました。
私が入社したのは、丁度ホワイトからパープルに移行しつつあった時期です。
給与体系に繰り返し改悪パッチが施されたようで、当時アラサーだった先輩諸氏は
未だに新入社員時代の年収を超えられない
なんて嘆いている状況でした。
参考までに、入社当時の昔話の記事です。
もし、ホワイト企業だったころの給料が維持される前提でローン組んでいたら、どうなっていたんでしょう?
ケース2
既に引退した父親が勤めていた会社も、元々は激務ではあったけど、それなりの高給で報いてくれる会社でした。
ですが、私が高校生、父親が40代の時に、社長が代わって薄利多売事業に手を出したのきっかけに処遇が悪化。
激務だけは相変わらずで給料だけがダダ下がり。
しかも、当時はまだガッツリ住宅ローンが残っていました。
勤務先はただのブラック企業に成り果て、今更転職できる年齢でもなかった父親は、
- 毎日帰宅は日付が変わるころで、睡眠時間は4時間。翌朝はまだ暗いうちに家を出る。
- 休日出勤もザラ。
- そこまで働いて、給料は中の下。自給換算したらアルバイト並。
という社畜人生を受け入れるしかなかった感じで、その後十数年、この条件で酷使され続けて定年を迎えることと相成りました。
因みに、その間にうちの家族の生活レベルがかなり落ちたことは言うまでもありません。
おかげで物欲ゼロの貯蓄体質を手に入れられるという、うれしい副産物もあったのですが…
…おそらく、読者さんの身の回りでも、こんな話の1つや2つあったはずです。
こうやって、途中で梯子外される話なんてザラにあるハズで、その時のことを想定しないってのはかなりマズいと言えます。
ついでに、簡単に融資しちゃう銀行も銀行じゃないかと思ってしまいます。
プレッシャーが心身を蝕む
仮に、こういう事態が自分に降りかかって来ないんだとしても、ローンを抱えていれば、完済するまでの間ずっと、
ローンあるから、おいそれと仕事は辞められない。
転職するなら、今の条件維持が必須。
というプレッシャーがのしかかってきます。
私も三十路突入した途端に体いわしたけど、年取ればストレス耐性も落ちてくるんで、こんなプレッシャーをジワジワ受け続けるのは結構な健康上の脅威と言って良い。
高レバレッジのFXよりヤバい取引
考えてみて欲しい。
多くの人は家買う時に用意する自己資金って、せいぜい数百万円から千数百万円の世界だと思います。
そして、ファミリー向けの新築住宅ともなれば、マンションでも3000万円から、一戸建てなら5000万円から…といった感じですよね。
多額の自己資金に対し、さらに数倍のレバレッジがかかっています。
これ、投資として考えたら、めっちゃリスク取った極めて危険な行動と言えます。
仮に、同じことをFXや信用取引でしようとしたら、周囲の人は全力で止めるでしょう。
でもなぜか、住宅の購入だけは聖域になってて、周囲の人も銀行も止めない。
「投資は怖い」なんて言ってるゼロリスク厨でさえ、住宅購入となれば嬉々として認めてしまったりします。
これはどう考えてもおかしい。
しかも、FXならゼロサムゲームなんで、プラスになることもあり得るわけです。
だから、リスク冒して勝負する価値あるっちゃあります。私はやらないけど。
でも、新築住宅だとどうか。
まず、日本は新築信仰が根強く、新築じゃなくなった時点で価値がガクッと何割か下がります。
入居した瞬間に、大体1000万円とか資産評価額が落ちる訳です。
そして、日本は人口減少と住宅のストック・供給の過多により、少し郊外行けば投げ売りされてる中古住宅だって多い。
例えば、私の実家周辺は人が住んでる家よりも空き家の方が多いという笑えない状態です。
「固定資産税払うの嫌だから、タダでも引き取ってくれ」
「固定資産税相当額さえ払ってくれれば貸して良い」
なんて物件も珍しくない。
そんな市場環境なんで、基本的にはローン完済するころには、ほぼ資産価値なんかなくなっているし、売ろうとしても買い手が見つからない…という状況が容易に想像できます。
…つまり、投資として考えた場合、新築住宅はマイナスサム!
これ、どう考えても、高レバレッジの信用取引やFXよりもヤバい取引だと思うんですが、いかがでしょう?
FXや信用取引はリアルタイムで自分の損益が見えてしまうから恐怖感じるんでしょうけど、それ故に自分がどれだけのリスク取ってるのかやってる人間が認識できるわけで、ある意味で良心的っちゃ良心的。
だけど、不動産の場合それが見えません。
そして、何年・何十年も経ってからとんでもない大損被ってることが発覚するというシロモノです。
だから、やってる人間がヤバいことしてるという認識を持ちづらい…というタチの悪さがあります。
だから、無茶苦茶な営業がまかり通ってしまうし、損失被ってる側も茹でガエルです。
まぁ、確かに、自分が住むための住宅を買うのは、消費行動であって投資ではありません。
だから、こんなことを言うのはナンセンスかもしれません。
ただ、損得勘定で考えたらとんでもないことしてるっていうイメージはこれで分かるかと思うし、消費行動だったら消費行動だったで、普通の堅実な金銭感覚した人が借金してまでこんな消費行動すること他にあるでしょうか?
所有すること自体がリスク
あと、所有することそのものがリスクだったりします。
- 持っているだけで固定資産税がかかる
- 痛んできたら修繕やリフォームが必要
- 災害に遭って全壊でもしたら全てがパーになる
- ライフステージや家族構成の変化に対応するのが困難
- その土地に住むのが嫌になってもおいそれと引っ越しできない
これ、結構重たい現実だと思うんですよね。
賃貸という形を取れば、1~3のリスクを全て大家に押し付けることができます。
4や5に関しては、中古になっても買い手が付く物件選べば持ち家でも回避できなくはないですが…
現実を見ると、子供が巣立った後のファミリー向け物件を持て余している高齢夫婦って多いし、ご近所トラブル抱えながらも引っ越ししない人多いですね。
月々のローン返済額が家賃とあまり変わらないんで、ローン組んで家買っちゃった方が得ですよ。
なんてこと言うハウスメーカーの営業もいるようですが、上記のリスク要因を考えたらリスクプレミアムが必要。
家賃とローン返済額がイコールではとても割に合いません。
これはアメリカのデータですが、
月々のローン返済額<家賃×0.7
が成り立つのであれば持ち家の方が得…というデータがあるそうです。
これ、結構ハードル高い気もするんですが、住宅が供給過多で中古物件に資産価値が認められない日本だと、間違いなくもっとハードル上がります。
そうなると、賃貸より持ち家の方が得ってストーリーはほぼ考えられない。
必要性より同調圧力と見栄
実は、うちの家でも、結婚してから何年かは嫁さんが
新築の家が欲しい。結婚した友達はみんな買ってる。それでみんな幸せそうだし。
と言ってきて、結構困ったもんです。
これに対し、まずは上記の内容を説明してローン組んで新築住宅買うのがいかに無茶苦茶で危険な行為なのか説明。
さらに、うちの実家が既に空き家を複数持て余しており、これ以上負動産を抱えるわけにはいかないこと…を必死のパッチで説明。
さらに…
自分の人生なんだし、他人がどうしてるのかなんて関係ないだろ?
もし自分の幸せにとって必要ないなら、他人がどうしてようと、それは削るべきじゃないの?
それにお金使ったら、その分他のことできなくなるし、必死に稼ぐ必要も出てくるで。
今幸せそうに見える友達夫婦も、10年後困ったことになってる可能性結構あると思うよ。
新築住宅の購入って、マネープラン上はあり得ない取引やからな。
という論法で畳み掛けました…。
そして結局、新築住宅の購入は見送ることに。
今後持ち家に住むとしたら、私の実家が持て余してる負動産の空き家をリフォームする方向になりそうです。
まぁ…説得したのであって、納得してもらったって感じじゃないです。
なんで、若干まだ感情面の不満が燻ってる感じなんですがね…
彼女もドケチの私に合わせるのに苦労してるだろうし、限定的に贅沢認めてガス抜きしてもらった方がいいんだろうな…
でも、実際こういう人って多いんじゃないかと思います。
日本って同調圧力強いし、周りの人と比較してばかりな人って結構多いように思うんで。
ただ、繰り返しますが、そういうものの考え方してる人は決して幸せにはなれません。
大切なのは、「自分がどうしたいのか?」
もっと自分に正直に生きて行かないと、必ずどこかでしっぺ返しが来ます。
まとめ
新築住宅を買うことに関しての私の考えは
- 新築住宅を長期ローン組んで買うのはリスクマネジメント上あり得ない行為
- 昭和に形作られた「普通」や同調圧力や見栄に囚われ、必要性を深く考えずに購入決断する人があまりに多い
ということです。
ただ、繰り返し言いますが、買うことを全否定している訳ではありません。
- 自分の身の丈に合っていること
- 自分にとって本当に必要であること
という条件を満たしているなら、全然買っても問題ないと思います。
一番大切なのは、遠い過去に形作られた「普通」に囚われないことです。
ただ…
- 湯水のようにお金を使える金持ち
- 自分達に必要な仕様を満たした中古や賃貸が存在しない場合
- 中古や賃貸が存在しないド田舎に住む必要がある場合
- 相続した土地や家が元々あって、そこに建てるor建て直す場合
ぐらいしか、これ満たしそうなケースが思いつきません。
少なくとも、一般的なサラリーマン家庭なら新築をローン組んで買った方が得…とは多分ならない。
なので、大半のサラリーマン家庭は…
- 投げ売りされてる中古を買って魔改造
- ライフスタイルに合わせてヤドカリのように賃貸を渡り歩き、子供が独立したら夫婦二人に過不足のない投げ売り物件を買う
というやり方の方がいいのではないかな??
こういうことブログで書くと、既に新築をローン組んで買ってしまった人が、失敗認めるのが嫌という心理からか反論してきそうな気もするんですけど、そういう馬鹿の存在は放置ということで。
今日は以上です。