「アンティークコイン投資で損した」との主張に反論してみた
こんにちは、そしてこんばんは。窓際投資家です。
昨日、暇だったのでアンティークコイン投資に失敗した人のブログをいくつか勉強のために見てみました。
するともう、言い分が…もうツッコミどころ満載でした。
なので、今日は彼らの主張に一つひとつツッコんで行きます。
デメリット含めて説明しない売り手も悪いけど、自分で何も調べずに、それにホイホイ乗っかる人もオツムが弱いと言うしかないですね。
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「マトモに売れない」
買うのは簡単に買えるけど、売る時に苦労する。古銭を扱っているリサイクルショップに持って行っても、貴金属としての評価しかされない。
適切に買い取ってほしいのであれば、専門のコイン商かアンティークコイン収集家向けのオークションで売るべきであり、質屋やリサイクルショップに持ち込むってのは、投資家としてあり得ない判断だし、勉強不足だと思います。
コインにしてもカラーストーンにしても、果ては時計とかでもそうだと思いますけど、トレジャーアセット系の資産ってのは危機管理目的で持つ資産であり、
「専門知識がないと価値の算定が困難である」
という部分に価値がある訳です。
この性質が、国家の財政破綻やそれに伴う預金封鎖・財産課税に対処する上で大きなメリットになる訳です。
でも、平時に売る時にはこれがどうしても足枷になってしまうんですよね。
だから、そもそも論として、危機管理を目的としない平時の資産運用には不向きな投資商品なんですよ。
アンティークコイン投資やるんだったら、その辺の事情までしっかり調べて納得してやるべきでしたね~。
売る側がこの辺説明しないのも大問題だと思うんですけど。
「損失が出た」
そもそも、値上がりしてるコインなんてほんの一部なのでは?俺は損切りする羽目になった。コイン投資勧める人は全くデメリット言わないけど、そんなのおかしいでしょ!
投入額が少なすぎる
こういうこと言ってる人のブログあったんで、読んで行ったんですよ。
そしたら、買ったコインの値段がものの数万円と分かって大草原でした。
希少性があって人気がある銘柄しか値上がり期待できないのは事実です。「ほとんどのものは投資不適格」と、このブログでも言ってきてます。
おそらく、最低でも、銀貨であれば数十万円、金貨なら50~100万円ぐらいは投入しないと、基本的には値上がり期待できる銘柄は買えないと思った方が良いです。
株式インデックス投資に勝とうと思うともっとハードルは高くて、500~1000万円を一度に投入する必要がありそうな感じです。
需給一巡したら値段上がるというサイクルなんで、希少性が高くて人気ある銘柄ほど値上がりは速いんですよね。
オークションの結果からこの辺を考察した記事あるんで、リンク貼っておきます。
値上がり見込めるコインの特徴まとめた記事はこちらです。
短期目線でしか見ていない
コインは金融商品じゃないので、売る店側は数%の手数料なんかではやってられません。
仕入れ値に3~5割の中間マージンを乗せて売るのが一般的です。
仮に4割の中間マージンが乗っていたとすると、年率10%で値上がりしたとしても、マージンをチャラにするのに4年かかってしまいます。
ただ、現実にそんな率で値を上げる銘柄は一握りのスター選手だけ。
大富豪でもない我々が手にできる銘柄だったら、年率5%程度上げていれば御の字でしょう。
それ考えたら、良い買い物しても、マージンをチャラにするだけで10年近くかかります。これが普通。
なんで、この投資は、超長期保有が前提で「自分が生きている間に何も起きなければ売らない」ぐらいの気持ちで臨まないとダメ。
「損切りした」なんて言ってる人いますけど、「損切り」って言葉使ってる時点で超長期目線で見ていない証拠。
目を¥マークにして数年での転売目論む人もいるようですが、そういう奴は大概マージンの分損します。
因みに、上で話題にした数万円のコイン買った人も、はっきり書いてなかったんですけど、状況的に見て10年以内に売却して中間マージン分だけ損したような感じでした。
そりゃそうなるよね。合掌…。
売買する相手を間違えている
まず、上記のように、出口戦略では売る相手を選ばないといけません。
折角良い銘柄買っても、売る時にリサイクルショップやただの質屋に持ち込んだりしたら、専門知識というか…基礎知識さえないので地金価格で買い取られかねません。
私もそうですが、「自分が生きている間は売らない」と決めてるなら、子や孫に出口戦略をしっかり教えておかないと、悲劇的な結末になりかねません。
あと、相場観がない人がいるのをいいことに、法外な中間マージンを乗せて売るコイン商がいるのも事実です。
こんなところで買っちゃうと中間マージンをチャラにするの大変…というか、無理ゲーだったりします。
オークションの結果や他の店で似たようなコインがいくらで売られているのか…と言った情報収集も必要だし、信用のある良心的な店を選ぶことも大事です。
「こんな変化球をワザワザ使う必要ないだろ」⇒その通りです
もっと手数料も安くて少額でも投資できる金融商品があるのに、こんなややこしい物にワザワザ手を出す必要あるの?
これはね…その通りです。
何度かこのブログで書いてますが…。
実物資産投資は、準富裕層以上(世帯の金融資産額5000万円以上)でないならやる意味ないし、やる価値もない投資です。
そして、繰り返し言いますが、例えガチ富裕層だったとしても、平時の資産運用目的であれば金融商品の方に分があります。
その理由は大きく3つあります。
理由1:流動性が低くマージンが大きい
まず、上記のように売買するのが大変だし、相手や場所を選ばないといけません。そして、中間マージンだって大きいです。
理由2:一度にまとまった額が必要
これも上で説明済みですが、ある程度まとまった金額を投入しないと値上がりが見込める銘柄に手を出せないという性質上、一度にまとまったお金が必要です。
資産規模がアッパーマスレベルまでであれば、一度に500万円とか1000万円とかいうポジションを持つってのはリスク管理上の問題が余りに大きいです。
理由3:庶民なら預金封鎖や財産課税も怖くない
過去の預金封鎖や財産課税の事例を見てみると、アッパーマス層あたりまで(世帯の金融資産が5000万円行かない層)の庶民はそこまで課税されていません。
2013年のキプロスにしても、75年前の日本にしても、少額預金者には課税してません。
預金封鎖や財産課税が脅威になるのは、金持ちとリタイア済みでもう働くことができない人であり、現役世代の普通の人はそこまで気にすることではないし、気にしてもしょうがないです。
だから、世の中の大半のサラリーマンはコイン投資を必要としていません。準富裕層になるか、引退目前になってから考えればいい話。
それまでは、黙ってインデックス投資でもしてた方が効率よくお金増えます。
そもそも…金融商品と比べるのがオカシイ
…という話を売る側がちゃんとしないのが結構問題だと思うんですね。
ここら辺は、買い煽りしまくってる一部新興コイン商の影響なんでしょうかね。
そもそも金融商品と比べるなって話だし、どちらが良いのかなんて持つ目的によります。
私が経験した酷い例だと、金融商品の存在価値を全否定して「こっちの方が」って勧めてくる店までありました。
こういう店って、客にデメリットも含め説明をちゃんとしてないんですよね。
まとめ
総じて、投資家の側の勉強不足とコイン売ってる側の過剰な煽り文句、双方の問題であるような気がしました。
確かに、この10年でコイン業界への新規参入も増えて、一部、情弱ホイホイみたいになってますからね。
コインに限らず、実物資産投資のメリットとデメリットをまとめた記事を作っているんで、興味あるなら見ていただければ良いかと…
ただね、投資って不勉強な人や情弱が徹底的に搾り取られるって基本構造は何をやっても変わらない訳ですよ。
こういう騙され方する人は投資自体やらない方が良いのかも知れませんね。どうしたって、そういう人一定数いますから。