トレジャーアセット系実物資産投資のメリット・デメリット
実物資産として、私はアンティークコインとカラーストーンを少数ですが保有しています。
この手の希少価値が売りの資産のことを、欧米なんかではトレジャーアセットなんて言ったりするみたいで、海外の富裕層がポートフォリオの一部に組み込むのは割と一般的みたいです。
私は「金持ちになりたいなら金持ちのマネをしろ」がモットーなので、マネ事実践中です。
このトレジャーアセット系実物資産のメリットとデメリットをまとめてみます。
Contents
トレジャーアセットの魅力
楽しめる(ただし自分が好きなものに限る)
最大の魅力は何といっても楽しみながらできるということ。
個人的には歴史とか大好きなんで、数百年前のコインとか手にすると凄いワクワクが止まらないし、宝石眺めるのも元々好きなんで希少ストーンコレクションするの自体が楽しいです。
カラーストーンはルースで持ってますが、もし自分が女なら確実に指輪かネックレスにでも仕立てて身に付けてます。男であいにくそれができず残念です。
逆に言うと、楽しみながらできそうな物を投資対象に選ぶのがキモだったりもします。
「好きこそものの上手なれ」やつです。好きだったら勉強するのも苦じゃないしむしろ楽しい。それが自分の資産を守ることにも繋がります。
ついでに言うと、好きでもない人が投機目的で高額商品買いにワラワラとお店に来られても、元々好きでやっていたコレクターからすれば良い迷惑だったりします。
これ、国産ウイスキーとかで問題になってますよね。投機目的で買われて愛好家が飲めないとか。こういうのはやめてあげて欲しいなぁ…。
高級時計や骨董品も投資対象にはなるかと思いますが、基本的には自分が好きで興味持てる物を投資対象にすればいいと思います。
災害や非常事態に強い(ただしコンパクトな物に限る)
極めてコンパクトで価値が高いものなので、災害や戦争が起きてもコインや宝石なら持って逃げられます。
国家財政がどうにもならなくなって、預金封鎖や財産課税を喰らっても手元に実物資産を置いておけば、財産の没収から逃げられる可能性は高まりますし、例え安物の銀貨でも手元にあれば、物々交換に出して当面生活できます。
ユダヤ人の富豪なんかが、戦争起こった時にコインや宝石持って国境越えて逃げたなんて話や実績もあります。
有事の際の資産防衛を考えるなら、持っておいて損はないでしょう。
マネーの増殖から資産を守れる
リーマンショック以降、世界中の中央銀行がガンガン金融緩和で市場にお金を供給しています。
お金を刷って、国債をはじめとした債券を買い、市場にお金を流すんですよね。
そもそも、お金は経済の血液でその流れが止まったら経済は死んでしまいます。
なので、どこの国も基本的には、こういう通貨の供給量や金利を調節して、金利がインフレ率よりやや低いという状態を作りって緩やかに銀行預金を溶かし、国民にお金を使うように促していこうという戦略で経済を運営しています。
ただまあ、正直言って、こうやって促されるままに浪費・消費してたら資産を築くことはできないので、言葉は悪いですが、この政策に対する対抗策が少し必要になります。
中国風に言えば、「上に政策あれば、下に対策あり」
お金を価値ある”モノ”に変えておけば、理論上は少なくともインフレ分は値上がりが見込め、資産を防衛できます。
値動きが緩やか+価格に下方硬直性
金融商品と違い、すぐに売り買いすることができないため、株式や仮想通貨のような激しい値動きとは無縁です。
例えば、前にも一度貼りましたがイギリスのレアコインの価格はこんな感じです。
これ、結構精神衛生的にはプラスです。
トレジャーアセット系の実物資産は、種類は違えど値動きには似た傾向があるようです。
上手く利用すれば節税になる
デメリットとして下でまた説明しますが、トレジャーアセットは一物一価ではありません。
なので、資産価値を正確に弾くのは困難です。
さらに、本当に希少価値の高いものであれば取引実績がほとんどなかったりするため、客観的に資産価値を弾くのがそもそも無理ゲーという状態にすらなります。
こうなるともう、自分が売ると言った額が市場価格です。
こういうのを上手く利用して、資産評価額を上手に圧縮できれば節税になります。
欧米では割と一般的な手法です。
トレジャーアセットのデメリット
大多数のものは投資不適格
例えば、アンティークコインといっても、発行枚数が多いものになってくると、金や銀といった貴金属としての価値がメインになってしまい、貴金属の値動き以上のリターンが取れません。
例えば1964年の東京オリンピックの時の1000円記念銀貨なんかは、半世紀以上経ってますがインフレ分すらも値段が上がっていない状態です。
カラーストーンや宝石にいたっても同様で、ほとんど(99%以上)は投資不適格です。
買った時と同じ値段で売ることさえ基本的には不可能で、こちらは貴金属でできている訳でもなく、ただの石ころなんで希少価値のないものは出口戦略上ではガラクタ同然です。
私はしてませんが、高級時計や骨董品もおそらく同じでしょうね…。
楽しむことのみを目的にするなら話は別ですが、投資となると作戦が必要です。
希少価値あるものに投資しようとすると、どうしても一度に投入する金額が大きくならざるを得ません。
中間マージンが大きい
金融商品の手数料はせいぜい数%ですが、トレジャーアセットの中間マージンは良心的な店でも2割ぐらいは取られます。
暴利を取ってくる店なら5割以上とか。
自分でオークションに参加して落札したとしても、ハンマー価格の1割とか手数料を取られます。
すぐに換金できず、超長期投資が前提
まず、金融商品ではありませんから、一旦この手の資産に投資したら、簡単には換金ができません。
また、中間マージンの大きさ故に、例えスムーズに値上がりしていったとしても、取られたマージンを跳ね返すのには相応の時間がかかります。
最低でも10年オーダーの投資となるため、余裕資金でするのが絶対です。
一物一価ではない
これについては、特に宝石やカラーストーンで顕著です。
宝石業界って、とにかく流通ルートが複雑で多段階に渡って中間マージンを中抜きされます。
なので、店によって仕入れルートの違いから、似たようなものでも値段が倍半分違ったりします。
例えば、高級百貨店のジュエリーショップとかで買うとめっちゃボられます。
投資用の宝石買うなら、産地の現地バイヤーから中抜きなしで仕入れているお店を探してそこから買うのが絶対ですし、そんな店同士で比べても、現地バイヤーとの関係性や店によって得意分野も違うので、同じようなものでも結構値段違うみたいです。
アンティークコインはこれに比べればまだマシです。
取引実績が多いコインなんかは鑑定会社(アメリカのPCGSとNGCが二大巨頭)が目安の取引価格を出しているし、オークションも頻繁に開催されていてその落札結果も公開されているんで、宝石に比べればまだ価格がガラス張りです。
その意味ではアンティークコインは金融資産とトレジャーアセットを足して2で割ったような性格を持っているのかもしれないですね。
それ故に資産価値のステルス性は低く、節税や資産防衛には相対的に不向きと言えます。
ただ、そうは言っても、オークションの結果は水物。
参加メンバーの思惑で価格は何割もばらつくし、公開の場以外での直取引とかもありますから、やはり一物一価とは言えません。
他の実物資産についても、公開の場で取引されないという性質を考えれば似たようなものでしょう。
ニセモノの存在
ある意味、これが一番怖いかもしれません。
鑑定済みのもの買っておけば一定の安心感はありますが、海外だと鑑定書自体の偽造もザラみたいで…。これはもう、信用のあるお店で買うしかないですね。
まとめ
日本ではあまり一般的じゃないですが、トレジャーアセット投資について一通りまとめてみました。またポロポロ関連記事出していくので、良かったら読んでください。