ルビー:カラーストーン投資界のGAFAM株

カラーストーンに投資する場合、ルビーを投資対象として勧めている書籍が結構あります。

この記事では投資対象としてのルビーの魅力と市場環境、今後の戦略を考えてみます。

どんな石?

こんな石です

酸化アルミニウムの結晶(コランダム)にクロムが微量混入したもので、色は赤。最高品質の色は鳩の血のような赤い色とのことで「ピジョンブラッド」と呼ばれます。

ちなみに、同じコランダムに鉄やチタンなどが混入して、赤以外の色になったのがサファイアです。

加熱で色味をコントロールする技術が確立されており、市場に出回っている石の多くは加熱処理を施したものです。こういう処理をしたものは希少性がなく、投資対象になりません。

産地

ルビーの原石

最高級品はミャンマー産

最高級品はミャンマー産ですが、上質な石が出るモゴック鉱山は枯渇寸前の状態。聞いた話では、母岩を数10トン採掘して、1ctのルビーが1つあるかな?という状況らしいです。しかもそれが売り物になるレベルとは限らないという有様だとか…。

ミャンマー産のピジョンブラッドのものを太陽光の下で見ると、かーっとした情熱的な赤色です。

その他の産地

産出量が圧倒的に多いのはタイやカンボジアですが、ここのは色が濃すぎて加熱処理しないと売り物にならないやつが多いそうです。色が濃すぎるが故に、ここのは「ビーフブラッド」なんて言うそうです。ミャンマー産のような価値はありません。

スリランカ産は逆に色が薄すぎて低評価だとか。これは逆に色を濃くするための加熱処理したものが大半のようです。これも投資不適格。

この10年ほどで新規参入してきたのがモザンビーク産です。ここのはそこそこ品質が良いらしいです。

その他、ベトナムやマダガスカル等でも産出します。

産出量

ダイヤモンドの産出量は年間約1億ctと言われていますが、ルビーの産出量は50万ctだとか。ダイヤの1/200です。かなり少ないです。希少性は抜群です。

市場の小ささ故に、ダイヤモンド市場におけるデビアスのような市場のGMがいません。規模感のある企業が入ってこれない訳です。

どんな石を狙う?

今までの買いの条件

とは言え、出回っているルビーもほとんどは投資対象になりません。どこから投資対象と見なすか、どこで線引くかですが、

10年以上持てば買い値からインフレ率程度は値上がりした値段で売ることができる

というラインで私はいつも線引きしています。この基準に当てはまるルビーって私が情報収集した感じだと…

投資対象になるルビーの条件
  • ミャンマー産
  • ピジョンブラッド
  • 非加熱
  • 1ct以上
  • 目立った欠点(傷、目立ったインクルージョン等)がない

といった感じでしょうか。

大前提として未来のことは読めませんが、今の社会情勢がしばらく続くと仮定した場合、この条件満たしていたらジワジワ値上がりしていき…10年も経てば買った時に載せられていた中間マージンがチャラにできる…気がします。

なので、この条件プラス無茶な値段でなければ買いだと思います。

ミャンマー産を今から買うのは厳しい

まあ、仮にこんなの売っていたら数百万円以上はするでしょうね、おそらく。

ですが、もうこんな石は札束積んでもほぼ買えません。上にも書きましたが、何せ鉱山はもうほぼ枯渇してますし、ストックの原石も相場の先高感から中々売りに出て来ないらしいです。

それに加え、以前の記事にも書きましたが、中国人の爆買い需要があり、たまに市場に出てきた石も中国人バイヤーが掻っ攫っていくようです。

あと何より、コレクターや愛好家は一度手にしたら基本的には死ぬまで手離さないばかりか、家宝として代々受け継がれて市場にはもう出て来ません。故に市場から数は減る一方なんですね。(これがアンティークコインやレアストーンといったトレジャーアセットを持つ大きな魅力でもあるんですが)

こんな調子だから、買いたくてもそもそも日本国内にこんな石がほぼないんです。

売っていたとしても、売値が適正か判断が難しいところです。というのも、こういう石はあまりにもレアで取引実績が確認できず、売買の当事者が納得したらそれが市場価格…という状態らしいんです。

投資適格の石は値上がりしまくった挙句に市場から消えてしまって、今から買おうとしても色んな意味で厳しいんじゃないかということです。

出遅れ銘柄狙う手はあるかも

買うなら出遅れ銘柄か

モザンビーク産は買いかもしれない

もし、今から投資目的でルビー買うなら…結構ギャンブル要素出てしまうのですが、モザンビーク産狙う手もあるかもしれないなと思います。

上記の買いの条件の「ミャンマー産」を「モザンビーク産」に代えたものを狙う訳です。少しカラット数の基準を上げてもいいかもしれないです。

宝石商に聞いた話では、ミャンマー産がもうないので代替でモザンビーク産の取引価格がここ5年ほどで高騰してきており、同じ品質の石で比較すると、かつてミャンマー産が取引されていた値段で今はモザンビーク産が取引されているのだとか。

それか、同じミャンマー産で少し条件下げるかですね。カラット数落とすとか多少のインクルージョン(内包物)は許容するとか。それでもミャンマー産はほとんど売ってない感じですけど。

ただ、ルビーの場合は非加熱って条件は外さない方が良いです。一気に資産価値なくなるんで。

経済・社会情勢も追い風

主要先進国の財政状況が軒並み悪化して未曽有の金融緩和を繰り出してる状態だし、借金の規模から言って現実的にはマイルドインフレで借金を溶かしていくしかない状況です。

新興国に至っては自国通貨に元々信用がないので、ドル建てで国債発行していたところにコロナ騒動です。経済がダメージ受けてしまい自国通貨が安くなったせいでドル建ての借金が返せない、そのことが余計に自国通貨安を加速させるという悪循環。

中国人に至ってはコロナなんかなくても自国通貨を信用してなかった感じですよね。だからあの国は元々実物資産投資が盛んで、そこがガンガン経済成長しているわけです。

なので、法定通貨を信用せずに資産を実物資産に退避させる流れは強まると思いますし、カラーストーンに流れ込む投資資金も増えると見込まれます。だから出遅れ銘柄を狙ってみる手はあると思うんですよね。

でもリスクも高い

とは言え、結構リスクも抱えています。もし投資目的でモザンビーク産買うなら、ややギャンブル要素がある投資だと心得てやった方が良いと思います。

モザンビーク産のリスク要因
  1. モザンビーク産は採掘が始まったばかりでまだまだ埋まっている。これからも市場に供給され続ける。
  2. 産地のネームバリューは超重要。モザンビークがミャンマーのようなブランド力を確立できるのかは未知数。

まー、投資本によってはモザンビーク産はやめとけって書いてます。ただ、重ねて言いますが私は狙う手あると思います。ミャンマー産の二番手クラスも同様です。

だから、楽しむのが主目的だけど、資産防衛も少し兼ねたいというライトな人にオススメかもしれないですね。