デマントイド・ガーネット…ウクライナ危機で注目
こんにちは、そしてこんばんは。窓際投資家です。
久しぶりに、今日はカラーストーンの話をしたいと思います。
ちょっと前に書いた石関連の記事が結構読まれているようだったし、投資家目線で石の解説してるブログや本なんて殆どないように思うんで。
ウクライナで揉め事が起きていますが、今後新冷戦に突入していくようだと期待できそうな石を今日は紹介します。
今日取り上げる石は
デマントイド・ガーネット
です。
どんな石?
見た目
最高品質のものは重厚かつ明るい緑色と、ダイヤモンドのようなギラギラ感を併せ持ちます。
何せ、屈折率はダイヤモンド以上に高いので。
そして、放射線状に繊維状の内包物が入ったものがちょくちょく見られます。
中央から放射線状にヒモみたいな内包物が広がってるの分かります?(スキャナーが安物故に解像度低くてスミマセン。)
これ、馬の尻尾みたいだということで、「ホーステール・インクルージョン」なんて言われるのですが、乗馬の習慣がある欧米の貴族や遊牧民族の間では「縁起が良い」とされて喜ばれます。
普通、宝石は内包物があると減点材料なんですが、デマントイドのホーステールは例外ですね。
まぁ…これがあんまり入り過ぎていると、透明度やクラリティを損ねるのでほどほどが良いんですけどね。
私はデマントイド持っていませんが、キラキラ感と重厚感と明るいさわやかさを併せ持っていて、個人的には大好きなカラーストーンです。
組成
ガーネットとは、
X3Y2(SiO4)3
という組成をした鉱物の総称です。
Yには主にアルミニウム、鉄、クロムが入ります。
そして、Xにはカルシウム、マンガン、鉄、マグネシウムが入ります。
当然、組成によって様々な色のものがありますが、青と紫だけはありません。
今回紹介するデマントイド・ガーネットは、Y=Fe X=Ca であるアンドラダイト・ガーネットの1種です。
ベースとなるアンドラダイト・ガーネットの骨格の中にクロムを微量に含むことで緑色に発色する変種です。
入る元素 | Y=Al | Y=Fe | Y=Cr |
---|---|---|---|
X=Ca | グロシュラライト・ガーネット | アンドラダイト・ガーネット | ウバロバイト・ガーネット |
X=Mg | パイロープ・ガーネット | ||
X=Fe | アルマンダイト・ガーネット | ||
X=Mn | スペサルタイト・ガーネット |
産地
1853年にロシアのウラル山脈で発見され、貴族の間で人気が出たようです。
今でも、当時のアンティークジュエリーがオークションに度々出てきます。
今の主な産地はナミビアで、マダガスカルでも産出します。
ただ、最高品質とされるものはロシアのウラル山脈で採掘されます。
重厚かつ明るい緑色をしたものや、ホーステール・インクルージョンを含んだものはロシアでしか出ません。
アイキャッチ画像に使ったフリー素材の石や、「見た目」のところで引用した画像の石は恐らくロシアのウラル産です。
ナミビア産は黄緑色で、ホーステールも入りません。
イメージとして、ロシア産の良い奴はこんな感じの色。
この色のヤツってもうロシアでしか出ないらしいです。
そして、ナミビア産のはこんな感じですね。
最近は後者の淡い色を好む人もいるようですが、市場で高値で取引されるのは目薬のカラーの方です。
産出量
はっきりしたデータは見つからなかったのですが、ガーネットの産出量自体はかなり多いです。
小粒のものは紙やすりとかに使われているぐらいなんで。
ただし、デマントイド・ガーネットは、ガーネットの中では結晶が成長し辛いらしく、元々の存在量・埋蔵量が多くありません。
最初に発見されたウラル産に関しては、ロシア革命の時から採掘がストップしていました。
2002年から採掘が再開されて細々と出てくるようになったのですが、それでもデマントイドを狙って採掘しても採算が合わないらしく、ダイヤモンド鉱山の副産物として採れるものがメインなのだとか。
故に、ウラル産の高品質のものは滅多に出回りません。
因みに、ナミビアのものは海岸沿いの漂砂鉱床(要は海岸の砂の中)から採れるようで…流通量も多いらしく、そこら中で見かけます。
注目する理由
ここまで説明したら、注目する理由なんて…もう説明不要でしょ?(笑)
まぁ一応説明しておきますか。
ウクライナ危機が長引いてロシアへの制裁が厳しくなってくると、今後日本を含む西側諸国でウラル産のものを入手するのはかなり難しくなると思われます。
いや、状況確認してませんが、既に難しくなっているのかもしれません。
最悪、鉱山が止まることも考えられます。
実際、旧ソ連時代に冷戦してた時は止まっていた鉱山も多かったと聞きます。
今後、世界が新冷戦の時代に突入していくことになれば、ロシアと自由に取引できなくなることも考えられます。
なんでまぁ…良い石があったら、今のうちに手に入れておいて損はないんじゃないかな~と思います。
私も仕込みたい
ぶっちゃけ、私も良い石が良心的な値段であったら欲しいなぁ…と思っていて探しています。
このご時世ってのもありますが、上でも言ったように個人的に大好きな石なんで。
でも中々ないんですよね。
何度も言いますが、99%以上のカラーストーンは投資不適格です。
なんで、「デマントイド・ガーネットだったら何でも良い」なんて話じゃ全くありません。
投資目的で買うとしたら、富裕層向けのオークションに堂々と出せるレベルのものにしましょう。
例えば、アイキャッチ画像に使ったような石じゃ投資用としてはアカン思います。(←じゃ、使うなよ)
サイズ分からないですが、ホーステールじゃないインクルージョン結構入ってますからね。
私が買うとしたら、
1ct以上のサイズ、目薬カラーでホーステールが入って透明度も高いウラル産
かなぁ…。
これだと多分、良心的なお店でも200万円以上はします。
最後に
最後に、アンティークコインもそうですが、石自体に興味がないなら、カラーストーン投資なんてすべきじゃないです。
お店に行けば趣味で純粋に楽しんでる人も沢山いるし、店やってる人も石自体が好きな人なんです。
そういう人たちにとって、カネだけが目当ての目が¥マークになった客なんて迷惑以外の何物でもありません。
トレジャーアセット投資は自分が興味を持てるものでやりましょう。