【実話】中途半端な気持ちで個別株に手を出すとこうなる
こんにちは、そしてこんばんは。窓際投資家です。
この10年、概ねずっと上げ相場で少々下手くそでも株買ってさえいれば儲かる状況でした。
なので、投資の怖さを知らない人が増えて来たなぁと思う今日この頃です。
という訳で、今日は怖い話をしたいと思います。
実験室での何気ない会話
今は昔。
私が新卒で入社したパープルメーカーで働いていた頃のこと。
丁度、初期配属された部署から左遷され、やや窓際気味の部署に配置されてしばらくたったある日の話です。
ちょっと春めいてきたけど、まだまだ寒い…そんな季節の…水曜日です(めっちゃ鮮明に覚えてる)。
同じ部署に、定年になって再雇用されてる団塊世代の元課長がいました。
T氏と言っておこう。
暇になってしまった私は、会社の実験室でT氏とダラダラと実験をしていました。
サンプルを測定機に突っ込んで測定済むまでの待ち時間、T氏がボソッと私に言いました。
俺なぁ、ついこの間、東京電力の株買ったんや。
600万円ぐらいでな。
えっ、そうなんですか!?
600万って凄いですね。
さすがに東電なら何あっても潰れんやろぉ…。
あれは安定株やで。
配当利回り5%近くあるし、毎年配当貰って嫁と海外旅行でも行こうと思ってな。
確かに、あそこなら安定株って言えそうですね。
僕も買うこと考えたことありました。買う勇気なかったですけど…。
因みに、私はそのころ駆け出しの投資家。
T氏のような高配当株への投資も考えたけど、個別株は初心者にはリスクが大きすぎると判断して、先進国株式インデックスのETF(東証1550)その他を買い、それを大事に握っていた頃です。
参考までに、当時の昔話のリンク貼っておきます。
[blogcard url="https://fire-madogiwa.com/post-735/"]
T氏が働いてきた時代は、田舎の工場が一部上場のホワイトメーカーに成り上がっていった時代。
そして、会社が落ち目になってパープル化してきた時に丁度定年退職した感じです。そのころに入社したのが私だw
良い時代生きて来た人はお金持ってるな…。
俺なんて全財産で600万円とかや。
一度にボーンと600万円突っ込める財力が羨ましい…。
なんて、その時は思ったもんです。
…感の良い人は…いや、ほとんどの人は、もうこの時点で、その後の展開はおおよそお察しなのかなと思います…。
まぁ、続けて行こうか。
災害ガチャ
突然の災害
そんな実験室での会話があった週の金曜日の午後。
中国の現地法人との間でテレビ会議してる時のことでした(これもめっちゃ鮮明に覚えてる)。
パープル企業の会議あるあるですけど、会議参加者の半分程度は寝ているかネットサーフィンしてます(爆)。
そして、私も膝の上に置いたモバイルPC(もちろん会社から支給されたものだ)でネットサーフィンしていたら、なんか地震速報と津波警報が…。
震度7以上と津波警報のコンボが関東から東北一円…マジかよって感じ。
そう、東日本大震災。
そうこうするうちに、Yahooのニュースサイトが目を疑うような映像で埋め尽くされる。
ヤバいことになってるなぁと思いましたが、この時はそれ以上でもそれ以下でもなかったです。
本当の地獄はここからでしたね。
とんでもないことが起きる
そして、週末。
テレビ見ていると、何やらニュースがうるさい。
東京電力の福島第一・第二原発が、津波でやられて上手く停止できなかったらしい。
原発を制御できてるやできてないや、政治家やマスコミがすっげー騒いでる。
※後になって制御不能だったと分かる。
そうこうするうちに、原発の建屋も吹き飛ぶ。
避難だの自宅待機しろだのと、また大騒ぎ。
そして、テレビ見ながら
Tさん、あの人大丈夫か??
今どんな気持ちでテレビや新聞見てるんやろ??
って思ってしまいました。
株価は暴落
案の定、震災が企業業績に影響すると懸念され、週明けの株式市場は大荒れ。
あの時、日経平均は10,000円ちょいだったと記憶しているけど、ものの数日で8,000円ちょいまで下落。
まさに「落ちてくるナイフ」ってやつです。
そして、最近はあまり聞かなくなった言葉ですが、当時はもうお決まりのパターンだった、「有事の円買い」。
円高が一気に進んで、ドル円は76円とかまで行ったと記憶してます。
そのせいで駆け出し投資家だった私の資産もこっぴどく傷ついて、全財産が500~600万円しかなかったのに、100万円近い含み損を抱えてしまいました。
あの時は辛かったなぁ…。
しかししかし…この暴落相場を引っ張ったのが東京電力株だったことは言うまでもありません。
連日のストップ安で、損切りしようにも、売り注文が殺到しすぎて取引が成立しない状態が1週間以上続いてましたね。
原発事故の前は「安定株」「ディフェンシブ銘柄」なんて言われてたのが笑い話のようでした。
500万円以上を溶かす
T氏はというと、毎日何も変わった様子もなく仕事してました。
相変わらず一緒に実験室で仕事したりとかはするんですが、
東京電力株のことは怖くてずーっと聞けませんでした。
めっちゃ気になってたけど。
何も変わった様子なく働いていることが、逆に怖くて中々聞けなかったんですが、事故から1か月ぐらい経った日に意を決して聞いてみました。
Tさん、東電の株、あれ、どうしました??
取引さえ成立しない状態でしたけど、逃げられました?
まだ持っとるよ。
テレビで原発の建屋が吹き飛んだの見た瞬間に、「こりゃ無配や」って思ったわ。
…
配当どころか株価1/10やわ…wwwwwww
まぁ、ここまで来たら仕方ない。
当分売らずに持っておこうと思うわ。
証券マンも申し訳なく思ったみたいで、電話でアポ取って状況説明しに家まで来たわ。
彼らとしても、申し訳ない思ったんやろうな。
どうやら、T氏は500万円以上を溶かしたらしい。
余談ですが、この時東電株絡みで大怪我した人はむっちゃ多かったです。
ここで挙げたT氏の他にも、当時アラサーだった会社の先輩M氏なんかは、急落してくる東京電力株に手を出して大怪我してます。
落ちてくるナイフに手出しちゃった感じですね。
教訓
ここから得られる教訓を挙げていきます。
何が起こるか分からない
投資全てに言えることですが、基本的には、先々で何が起こるのかなんて誰にも分かりません。
企業個別の事情に振り回される個別株になると特にそうで、どんな爆弾抱えているか分からないし、どんな想定外のアクシデントに見舞われるのか分からないです。
なんで、T氏のように一気に大きな金額を突っ込むのはやた方が良いですね。
「後になって考えたら最悪のタイミングだった」なんてことはプロでも良くある話なんで。
必ず何回かに分けて資金は投入した方が良いし、それで多少手数料が高くなっても安心料として割り切るべきだと思います。
世間の評価なんていい加減
東日本大震災が起きるまでは、公共やインフラの株って「安定株」「ディフェンシブ株」なんて言われてました。
ですが、災害一つでこのザマです。
それ以降、電力会社の株にこんなラベル付けする人はいなくなりました。
世間からの評価なんてこんなもんで、極めていい加減なものです。
今はGAFAMを始めとしたプラットフォーマー買っておけば何とかなる…と世間では言われてて猫も杓子もそっちになびいてますが、こういう評価だってきっかけ次第でどうなるのか分かりません。
銘柄を選ぶときは自分の頭でしっかり考えて選ぶことが大事ですし、それする自信がないのならインデックス投信買っていれば良いんです。
何度も言うようですが、
市場のメインプレーヤーはプロの機関投資家。
個人投資家が市場平均を超えるには、プロを出し抜かないといけない。
…いくら何でも、そんなの無理があります。
ほとんどの個人投資家は個別株買っても市場平均に勝てず、返り討ちに遭っているのが実態です。
T氏の例は極端かもしれませんが、中途半端な気持ちで個別株に手を出すとロクなことがないってのは分かると思います。
相場急落時の強い味方・インデックス投信
少し余談になりますが、私はこの時に持っていたETFをガッツリ買い増ししました。
その後しばらく苦しい展開が続いたんですが、2012年末にアベノミクスが始まってからのチート感は凄かったです。
個別株買う時は
「落ちてくるナイフに手を出すな」
は鉄則。
下げ止まったの確認してから買わなければいけません。
下げてきて割安に見えても、売られるのには必ず理由があって、どんなネガティブ要因抱えてるか分かりませんからね。
ただ、インデックス投信であれば話は違ってきます。
一時的に下げたとしても、市場全体で見れば必ずもとに戻りますから。
なんで、「下げたら買う」って形で脊髄反射的にやっても全然問題なし。
これなら逆張り好きな日本人の初心者でもOKじゃないの?
より安全を期すのであれば、感情に振り回されないように、積立て投資で淡々と買っていくことでしょうね。
なんで、投資初心者のうちは変に背伸びせずにインデックス投信を買うこと、特に、積立てで買うことをお勧めします。
今日は以上です。