宝石投資の失敗事例から学べること
お疲れ様です。窓際投資家です。
先日、貯めたお金でカラーストーンを買いました。
で、また…例によって、実母からも義母からも嫌な顔されたんですよね。
ただの石ころと札束交換してどうするの!?
対応はいつも決まっています。
こんなのスルーだ、スルー!
いや、何回かは理屈で反論したんですよ?
そんなこと言ってたら、その財布に入ってるお札だって、ただの紙切れやん。
全てのモノは欲しがる人がいるから価値を持つだけの話で、絶対的な価値あるものなんてどこにもないで。
そういうこと言うのは、お金とか投資の本質について何も理解してない証拠じゃないの?
宝石を投資対象にする行為なんて、人類の歴史が始まって以来ずっと行われてる。
もし宝石ってカテゴリー自体が投資不適格なのであれば、宝石投資なんて文化はこんな長く続いてない。
ってね。
でも、いくら理屈で説明しても平行線なんだわ。
というかね、理屈でもの考えへん人に理屈で説明しても無駄。
下手に説明なんかしたら、余計に溝が深くなるしね。
…とは言え、こうもdisられていると、私も人間なんで、ちょっと不安にはなります。
どんな投資でも勝率100%とは行かず、必ず失敗はあるもの。
宝石投資の世界で、過去にどんな失敗事例があったのか、軽く調べてみました。
失敗パターンを集めてみた
ラピスラズリ&トルコ石
古代エジプトにおいて、青とか水色は特別な色とされ、青い石であるラピスラズリや水色のトルコ石は権力の象徴とされていました。
また、トルコ石は中世のイスラム世界でも金運アップのお守りとされ大事にされてきました。
ラピスラズリやトルコ石は今でも愛されてはいますが、普段使いのアクセサリー向けといった感じです。
古代や中世における価値と比べたら、ほぼタダみたいなもんでしょう。
琥珀
琥珀って擦ると静電気を帯びるし、化石化した樹液なので火にくべるといい匂いがする…らしいです。(自分でやったことはないがね。)
そういう性質から、19世紀ぐらいまでは、欧米で魔除けのお守りとされて人気があったそうです。
だけど、今ではそんな信仰を持つ人はほぼおらず、宝石店で琥珀を見かけることも少なくなりました。
瑪瑙(めのう)
紀元前のヨーロッパでは、装身具や印章によく使われていて、上流階級の必須アイテムだった模様。
中世イスラム世界でも、特に紅瑪瑙は魔除けとされていたようで。
今でも愛されてはいるけど、やはり普段使いのアクセサリーの域は出ない感じです。
オパール
古代ローマ時代には
「全ての美を備えた最高の宝石」
とされてワッショイワッショイされていましたが、19世紀のヨーロッパでは
「不幸を呼ぶ」
と言われて避けられました。
現代社会においては…
ライトニングリッジのブラックオパールのような例外はあるものの、基本的にはローマ時代のようなポジションじゃない。
失敗パターンはいつも同じ
実物資産投資は、少なくとも数十年オーダー、基本的には子孫への相続前提の超長期投資が原則になるんで(取引コストが大きいため)、超長期目線での失敗事例を集めてみたつもりです。
これ見てると、一定のパターンあるのが見て取れませんか?
こういうことですよね?
地球上にそれなりの量が存在していて、元々希少性がそれほど高くないものが、
社会的、文化的、宗教的な理由から強い需要があって高値で取引されていた。
時代が進んで需要を支えていた背景が失われると、一気に価値を失う。
一言で言うなら、
希少性は大事ですよ
ということです。
希少性があれば、何らかの理由で需要が減退しても供給が限られるため、価格に一定の底があるということなんでしょう。
また、私は希少性が高すぎることも投資対象として問題だと度々指摘してきました。
一般認知度が上がらず、値上がり云々以前にマーケットが形成されないからです。
超長期で見た場合、
「忘れ去られて終わる」
リスクも存在するように思います。
が、私が調べた限りにおいては、希少性が高すぎることによって失敗した事例は確認できませんでした。
忘れ去られているがゆえに、記録残ってないだけ?
値崩れする以前にそもそも値上がりしない?
そういう可能性はありそうだけど、
希少性高すぎるのは良くないけど、低いよりは断然良い
ってのは言えそうです。
その意味では、私は希少性にはこだわって投資対象セレクトしてますんで、大きく失敗することはないと思いたい。
ダイヤモンドは失敗事例予備軍?
…という視点で見ると、現代の危険な投資対象として真っ先に頭に浮かんだのがダイヤモンドですね。
というのも、ダイヤモンドって、宝石の中ではかなり採掘量も埋蔵量も多いです。
2024年のデータで行くと、全世界でのダイヤモンドの採掘量は約1.1億カラット。
ルビーの全世界での採掘量は正確なデータがありませんが、数百万カラットではないかと言われていて、どう多く見ても1千万カラットはないだろうとのことです。
サファイアも正確なデータはないものの、ルビーと同じかやや多い程度と言われています。
また、エメラルドの採掘量は多く見積もっても全世界で300万カラット程度と見られます。
メジャーなカラーストーンでさえこんな感じで、スピネル、デマントイドガーネット、翡翠あたりになってくると、マイナー過ぎて統計データを拾うこと自体が困難になってきます。
これらの数字は工業用のものを含んだ数値になりますが、
こうやって見ると、いかにダイヤモンドの採掘量が桁違いに多いのか分かるでしょう。
それなのに、カラット単価でメジャーなカラーストーンを凌駕するケースも珍しくありません。
その上、何も考えずにリサイクルショップに持ち込んだとき、リセールバリューが付きやすいのはカラーストーンよりダイヤモンドの方です。
なぜこんなことになってるのかというと、1930年代からデビアスが良くも悪くもマーケティングを頑張ってきたからです。
彼らは、ダイヤモンドの供給も、流通も、価格も、イメージ戦略も一括で管理して、
「婚約=ダイヤモンド」
という文化を世界に根付かせてきました。
紀元前からダイヤモンドをお守りにする文化は一応存在してましたが、
大して珍しくもない小さな石ころに何百万円からの値段が付くのは、彼らのマーケティングによって生じた文化的刷り込みによるところが大きいわけです。
…そう考えると、ダイヤモンドって失敗事例予備軍に見えません?
何らかの理由でデビアスがダイヤモンドの価値を守るのをやめたとき、価格破壊が起きる可能性は高いと思います。
彼らの宣伝文句じゃないですが、民間企業のマーケティングに「永遠」はないですから。