「子供の体験格差」を煽る記事に感じる違和感
お疲れ様です。窓際投資家です。
なんか最近、ネットを見ていると、「子供の体験格差」なるものの記事がやたらと上がってきます。
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まぁ…同じシリーズというかソースから引用したような記事が多い気もしますけど…
最初に「体験格差」と聞いた時には
「何やそれ?」
と思いましたが、定義としては…
旅行やならいごと、休日に友達と一緒に遊ぶなど、学校外で行われる体験機会の格差
【子どもの「体験格差」】感じている親は6割 格差を実感した瞬間 – コクリコ|講談社 (kodansha.co.jp)
ということらしい。
最近、この手の記事を夫婦で読んでツッコミ入れまくってるんですよね。
この手の記事の内容を滅茶苦茶かいつまんで言うと、
- 親の経済力の差が子供の体験格差を生む
- 体験格差は世代を超えて連鎖する
- 子供の体験には地域格差がある
- 同じ地域でも、所属コミュニティや家庭によって子供の体験に格差がある
ということが言いたいようなんですよね。
この点についてはそうだと思うんだけど、でもこれって本質ちゃう思うし、お金の問題だけではなくてもっと複雑な話だよなぁと。
「体験」がタダではなくなった
まず、そもそも論として、
元々タダだった体験が、最近はタダではななくなった
というのがあると思います。
一番の問題はここでしょう。
昔は身近なところに遊ぶ場所があったし、郊外や田舎に住んでいれば自然だってありました。
近所に同年代の子供がいる家も多く、子供同士でどこかに行ったり、子供をよその家に行かせることに抵抗を持つ親なんてほぼいませんでした。
だから、放置してても近所の子と勝手に遊びに行って、公園や空き地で色んなスポーツを遊びでやったり、野山や川で虫や魚捕ったりしてたんで、「体験」ってものに手間もコストもかからんかったんですよね。
ところが今は…
空き地みたいな場所や路地で子供が遊んでいたらすぐにクレーム来ちゃうし、公園ですら球技や大きな音の出る遊びが禁止だったりします。
そして、昔と違って人口が都市部に集中。共働き家庭が増え、親の都合で職住近接が求められるようになった結果です。
都市部には効率優先の人工物ばかり。子供が遊べる自然空間その他の「余白」めいた空間、基本ありません。
今の親は、自分の子供が余所の子と子供同士で遊びに行くことに異常なまでの警戒心を持つんで、子供同士で遊ぶのなんて簡単に認めません。
まぁ実際…何かトラブルあった時にヒステリー起こす頭のおかしい親や、そこまで行かなくても、自分には受け入れがたいような価値判断基準や行動原理持ってる親も結構いるんで、リスクを回避したくなる気持ちは自分にも分かるっちゃ分かるんですけどね。(多様性が人を幸せにするとは限らない良い例です。)
そんなんだから、近所の子供が遊びに誘ってくれるようなこともないし、そもそも少子化の進行で近所に子供自体がほぼいないなんてケースさえあります。
こうなってくると、親がお金や労力をかけてお膳立てしてやらないと「体験」なんてできっこありません。
お金かけて習い事させたり、時間を取ってどこかに連れて行ってやったり。
こんな世の中になっちまったことが一番の問題で、その結果として、コストを負担できる家庭とできない家庭の格差が広がってるってことでしょう。
私の職場の年配のおばさんなんかは、
息子3人いるけど、小さいころに公園に連れて行ってやって遊んだ経験なんてほとんどない。
だって、近所の年上の子供がやってきて、勝手に遊びに連れて行ってくれるんやもん。
…今じゃほぼあり得ない話。
だけど、自分が育った環境も含めて昔はそうだったなぁ…。
こういうのもあって、昔の親の子育ての負担は今より圧倒的に軽かったんだと思うんです。
本当に子供や子育て世帯にとっては厳しい時代です。正直、令和の子供は気の毒だなって常々思います。
家庭の体験コスト負担力が低下
そして、冒頭にばーっとリンクを貼り付けた記事の多くでは経済格差の問題に帰結させられてますが、話はそう単純ではない気がします。
タダだった体験にコストがかかるようになったわけですが、その「コスト」って大きくは時間とお金ですよ。
お金だけではないんです。
実際に子供育ててて感じる話として、家庭ごとの体験コスト負担力を数値化するとしたら、
お金×時間×親の意志
で決まるように思います。
ポイントなのは足し算ではなく、掛け算であること。
3つの変数のうち、どれか一つでも極端に低い数値があるとダメ。
3つがバランスよくある状態こそが、最も高い数値が出ます。
お金だけあれば良いってもんじゃないんです。
例えばの話、正社員フルタイム共働きでヒーヒー言ってる家庭って、子供が放置されてるケース少なくありません。
お金はあっても時間ないですからね。
で、そこにお金渡したところで、問題は解決しますか??
無理やと思うんですよ。
確かに、「体験をカネで買う」という選択肢は多少広がるだろうけど、習い事の多くは月謝の他に親の送迎が必須。
仕事で疲弊した夫婦が、仕事終わった後や休日にこれをやるの相当厳しいと思います。
また、こういう夫婦の子供は子供で、平日は毎日そこそこ遅い時間まで保育所だったりするわけで、両親がいない環境で丸一日×週5日過ごして疲れない子なんていません。
こんな状態で休日まで習い事させたらパンクしません?
こういう家庭は仕事をセーブして時間を作り出すこと考えた方が効果的なわけで。
まぁ…時間とお金という変数2つに関しては、令和の時代はかなり厳しいですよね。
共働きが当たり前になって、家庭の保有工数の多くを仕事が持って行ってしまう。
その癖可処分所得は低迷を続けてて、昭和の専業主婦付きサラリーマン一人分の可処分所得を夫婦二人で稼いでるような状態…。
昭和と比べたらお金はそのまま、時間は激減です。
あとは「親の意志」。
これが低いとお金や時間が上手く機能しません。
ここが昭和と比べて変わったのかどうか…良く分かりませんね。
そもそも体験をさせてやろうという気のない親、そのための工夫をしようとしない親なんて今も昔も必ず一定数いるものだし、あまり変わらんのじゃないかという気はしますね。
窓際族が考える対策
コスト負担力は配偶者次第で上げられる
確認のため、もう一度言いますが、世帯全体として
お金×時間×意志
の数値をいかに大きくできるかが勝負です。
これって…配偶者をしっかり選ぶしかない気が。
私が思うに、条件としてはこんな感じでしょう。
- 子供の体験が大事だという認識と意志を持っていること
- お金と時間のうち、自分に不足してるものを持っている
- 揉めた時に歩み寄る柔軟性がある
なんといってもまず、子供の体験が大事だという認識と意志を持った人でないとどうにもなりません。
あとは時間とお金。
この2つのうち、自分にないもの持ってる人と結婚するって考えも必要かも。
家庭の体験コスト負担力を大きくするには、何といってもお金と時間のバランスが大事なんで。
どっちかが潤沢でもどっちかが少ないと結局は苦しむことになります。
例えば、自分が激務のエリサーやキャリアウーマンなら、敢えてゆるブラック勤務でお金はなくとも時間や気持ちに余裕がある人を狙ったり、専業主婦(主夫)希望の人を狙ったりするのとかどうよ?って思います。
実際のところ、そういうエリサーやキャリアウーマンに限って、その手の人を蔑んでいたりするわけですが、これって勿体ない話だなって思います。
子供の体験以前の話として、お金と時間のバランスって幸福度にも大きく関わってきますからね。
あとは…
何か揉め事が起きた時にお互いに歩み寄って落としどころ探していけるような人じゃないと、キツいですよね。
まぁ…これも子供の体験云々以前に結婚生活全体に言えることですが。
お互いにちょっとずつ我慢して夫婦トータルで
お金×時間×意志
が大きくなるよう全体最適化を狙う必要があるわけですが、歩み寄りが全然ない人だと、
コストを全て自分で負担する
子供にしわ寄せが行く
の二択になります。これは中々つらいです。我儘な人はあきません。
住む場所によってハードルは下げられる
あとは、住む場所ですかね。
子供の体験を重視するなら、基本的には都市部はやめたほうがいいと感じます。
もう一度言いますが、都市部は効率優先の人工物ばかり。子供が遊べる「余白」めいた空間、基本ありません。
だから、都市部だと何でもかんでもお金で買わないとできません。
これが田舎になると、かなりマシ。
親がある程度の労力かけてお膳立てする必要はあるにしても、お金かけずにパパっとそこら辺で色んな体験ができます。
例えば、うちの家は近くに海水浴場があります。
体験格差は水泳と音楽で大きいなんて話もあるようですが、うちはしょっちゅうタダで泳いでます。
これが東京や大阪の都市部だったら、月謝と送り迎えセットで水泳習わせたり、電車乗ってお金払ってプールに連れて行ったり
しないといけない訳です。
田舎に住んでおけば、体験コスト負担力が大きくない家庭でもやりくりしやすいんかなぁと思います。
ただ当然…田舎に住むってのも、良い事ばかりじゃありません。
- 住宅が「負動産」になりやすい癖に、場所によってはそもそも賃貸がない
- 通勤・通学に時間がかかることが多く、生活に余裕が失われることがある
- 子供が通学できる範囲が狭いため、少し遠い学校に行くことになると、すぐに下宿対応となりめっちゃお金がかかる
- 車を持たないと不便を強いられるし、車の維持費が高い
…等々、色んなデメリットが存在するのも確かです。
私だって手放しで田舎を礼賛するわけではなく、このあたりはバランスの問題なんでしょう。
いずれにしても住む場所の影響は大きいです。
まとめ
今までの内容をまとめるとこうなります。
- 元々タダ同然で手に入っていた子供の体験にコストがかかるようになったのが一番の問題。
- その結果、体験コストを負担できる家庭とそうでない家庭の差が生まれている。
- 体験コスト負担力は「お金×時間×親の意志」で決まる。
- 共働き世帯の増加と可処分所得の低迷で、家庭の体験コスト負担力が低下している。
- 配偶者と住む場所をしっかり選べば、体験格差はかなりの部分カバーできる。
うんまぁ…令和って時代は子供や子育て世帯にとっては地獄みたいな時代だとは思います。
だけど、ちょっとした我慢や工夫次第でどうにでもなるんちゃうかな?と感じますね。
子育てに限らず人生全般そうだけど、お金あるに越したことはないけど、ないならないなりのやり方あると思うんですよ。
ただ、ペタペタ貼ったリンク先記事の主張は偏ってはいるものの、間違ってはいないと思います。
上述したように、「お金」ってのは家庭の体験コスト負担力を左右する重要な変数の一つには違いないです。
また、体験には地域格差もあって、同じ地域でも家庭ごとに大きな差があって、そして、世代を超えて連鎖するのも本当だと思います。
例えば、私なんかは雪の降らない地域に住んでいて、スキーをほぼやったことありません。
だから、今後仮に子供が「スキーしたい」と言っても教えてやることができないし、スキー場に連れて行くだけでもほぼ「旅行」なんで、かなり無理をしないと子供にスキーさせてやることなんかできません。
外注しちゃって習わせる手もないわけではないですが、
自分の人生の中でスキーできなくて困ったことなんか一度もないし、
雪の降らない地域に住んでるせいで、いざ習わせるとなったら馬鹿みたいにお金がかかるしで、
正直、させることにはかなり抵抗ありますね。もうちょっと別の習い事ならいいんだけど。
でも、同じ関西に住んでいても頻繁に子供をスキーに連れて行く家庭もあるっちゃあるし、同じ地域の中でも大きな格差がある訳です。
だけど…この手のケースって言い出したらキリがないし、そもそも論として、なぜ「みんな同じ」にそんなこだわる必要あるんかな?って気はします。
そういうリベラルの人に限って同じ口で「多様性が大事」とか言い出すんだよな…。
ただやはり、事の本質は
タダで手に入っていた体験が、コストかけないと手に入らなくなった
ということじゃないでしょうか。
現実的には、「昔は良かった」と言っても今さら昔には戻れないし、昔より良くなってる部分も確実にあるんで、我々小市民は時代に合わせて柔軟に対応しながら生きてくしかありませんね。