英国モダンコインバブル…日本人小金持ちがカモに?

こんにちは、そしてこんばんは。窓際投資家です。

以前にも記事にしたのだけど、最近、モダンコインと呼ばれる、近年発行された投資用コインが人気を呼んでいます。

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特に人気を呼んでいるのが、イギリスの王立造幣局が発行したモダンコインです。

向こうのユダヤ系の人達が仕掛けたブームだと聞きますが、それに日本の一部新興コイン商が乗っかり、彼らの買い煽りに乗せられた日本人によってブームに発展した模様です。

ま、日本限定のブームなんだけど…。

私が思うに、恐らく、売る側の狙いとしては…

英国モダンコインブームを仕掛ける側の理屈(推測)

イギリスのアンティークコインは近年値上がりして、人気銘柄になると一般人には手が出せないような値段に

⇒このブームに乗っかって、一般人にも手が出せるような価格帯のものを新しく投資用に作ったら、市場の裾野が広がって地金をより高く売ることができるんじゃね?

という思惑だと推測します。

今、これに乗せられて、世界で日本人だけが有難がってモダンコイン買っているんです。

英国モダンコインへの投資を一概に否定する訳じゃないし、こういう投資が吉と出るか凶と出るのかは、ぶっちゃけ私には分かりません。

何より、投資には絶対なんてものはないんだし、初期の仮想通貨だってキワモノ扱いされていたんだから。

ただ、私は、少なくとも今の段階では、絶対にこんなものには手を出したくありません。

私個人の予想にはなりますが、今こんなものを有難がって買ってる人は、ブームを仕掛けたユダヤ人や新興コイン商のカモになって終わりじゃないかと思うんです。

二番煎じなのにプレミア価格

イギリスのモダンコインのラインナップ見ていると、ヴィクトリアの1848年ゴシッククラウンや「ウナとライオン」といった、富裕層向けオークションの超人気銘柄の復刻版が多い印象です。

1839年「ウナとライオン」
Wikipediaより引用
1848年ヴィクトリアゴシッククラウン
Wikipediaより引用

イギリス王立造幣局はオリジナルの金型を持っているんで、それを最新の技術で修復して復刻版を作っているという話です。

まぁ…これだけ聞くと、悪い話ではありません。

でも、所詮は復刻版でオリジナルではないんです。

いいんですよ。復刻版でも。

オリジナルより大幅に安い価格だったり、地金価格プラスαぐらいで買えるのなら。

でも実際は、モノによっては本家より値上がりするものも出てきている始末です。

一部の煽り系新興コイン商に乗せられた日本人のイナゴが買いまくった結果です。

こんなのどう見たって異常なマーケットだと思うし、そんな値段で買う方も買う方だし、客に勧める方も勧める方だと思います。

種類多すぎて買い手が的を絞れない

しかも、この復刻版が何種類もある訳です。

本家が銀貨であるゴシッククラウンを金で造ってみたりとか、ヴィクトリア女王の肖像が今のエリザベス2世に代わっていたりとか、「鍋敷きか?」と思うぐらいでかい奴だったりとか…。

近年の英国モダンコイン人気に味をしめたのか、最近では物凄い多種多様な投資用モダンコインが王立造幣局から発行されてます。

007シリーズだの、神獣シリーズだの、ブリタニア金貨の特別仕様バージョンだの…

これらの銘柄は、コレクター心理というより、投機的心理を上手くくすぐるように工夫してるものも少なくないです。

「有名デザイナーにデザインさせた」

とか

「発行枚数を絞っている」

とか

「打って即日鑑定機関に直送して、スラブに入れました」※注

とか…

 コインは鑑定に出すと、真贋及び保存状態を評価した上で、長期保管に耐えられるような「スラブ」と呼ばれるケースに密閉されて返ってきます。こんな感じで。発行即日に鑑定機関直行ともなると、保存状態なんて良いに決まってます。

まぁ…色々理屈を付けて、地金価格に高額なプレミアを載せて売ってます。

だけど、いくら理屈コネられても、私にはこんなものがプレミア価格で売れるのは一過性のブームで終わると思えてならないんです。

なぜか?

この手のものが雨後の筍みたいに発行されたせいで、あまりにも種類が多いからです。

これが問題だと思う。

種類が多すぎると何が起こるのか?

投資家側が的を絞り辛くなって、結果値上がりしない…という現象が起こりがちだからです。

それの良い例が、神聖ローマ帝国で1600年頃から1800年頃まで発行された「ターレル」と呼ばれる銀貨です。

神様、天使、国王、山男、美少女、馬に都市景観やら…色んな絵柄がありますが、デザインが凄く凝っていて芸術的。

しかも、当時としてはしっかりした造りで品質が高い。

モノ自体は素晴らしいのが多くて、私も大好きです。

人気出そうですよね?

そして、発行枚数の少ないものも多い。

そうなると、受給のバランス考えたら、値上がりしそうだよね?

でも、このカテゴリーのアンティークコインは、全然値上がりしてません。

「何でこんなに安いの?」

とコイン投資家の間でも言われたりしますが、私は安値放置されるには安値放置されるなりの理由があると思っています。

神聖ローマ帝国のターレルって物凄く種類が多くて、買い手が的を絞れないんです。

もうね、世界コインのカタログ見たら、

神聖ローマ帝国の銘柄だけでどんだけあるねん!?

って感じですよ。

余談ですが、神聖ローマ帝国って、日本の戦国時代みたいな状態がずっと続いていて、30年戦争以降は皇帝の言うことなんて誰も聞かなくなってたので、各地の地方政府が各々勝手に通貨を発行していたんです。

だから、物凄い種類の通貨が存在したんですよね。

で、話を戻すと、今のモダンコイン見ているとあまりにも種類が多いので、早晩神聖ローマ帝国のコインと同じことになるんじゃないかと思うんですよね。

買うのは投資経験の浅い日本人のイナゴだけ

で、本当に好きでコイン投資&収集してる人はこんなものには手を出しません。

まず、歴史的価値はゼロ。

私も含めて好きでやっている人は、コインを手にしたり、眺めたりして

「中世の商人がこれ使って決済してたんだな」

「ローマの庶民がこれ使って飲み会したんだな」

みたいに思ったりするのが楽しいのだけど、モダンコインにこういう楽しみって…まず見だせないです。

何より、今後もモダンコインは手を変え品を替え発行され続けるでしょう。

個々の銘柄の発行枚数は少なくとも、こんなものに本当の意味での希少性なんてあるんだろうか?

そして、もう一度言いますが、復刻版については、二番煎じは所詮二番煎じで、オリジナルを超える価値なんて持ちえない。

だから、好きでコインの投資や収集をしてる人は絶対にこんなもの買いません。

現に、このブームを作っているのは日本人で、海外の人はこんなもの買ってませんよ。

日本のコイン投資人口って、最近増えたと言っても、1万人いないと言われています。

そんな小さなコップの中でしか資産価値を持ちえない資産って、資産って言えるんでしょうか?

ましてや、日本って衰退途上国ですから、今後日本人がこういった投資につぎ込めるお金って徐々に減っていくと思います。

そんな状態で、日本人しか買わないような資産が資産価値を保っていけるのか…?

私は甚だ疑問ですね。

ましてや、こういう実物資産を持つ人の中には、日本政府の財政悪化に伴う預金封鎖や財産課税の対策を目的にする人も少なくありません。

でもよく考えてくださいよ。

そうなって日本経済がクラッシュしたら、モダンコインに高額なお金を払人はいなくなります。

元々日本人しか買って来なかったのだから。

日本のクラッシュとともに、モダンコインの資産価値もクラッシュする可能性が非常に高い。

こんなものを持っていても、日本がクラッシュした時の危機管理にはならんでしょうよ。

それでも値上がりしたら結果オーライ…だけど…

とは言え、ここまで書いてきた内容は、私個人の見立てや思いであって、市場参加者の総意じゃないです。

これまで何度も言ってきたように、市場が価格を決めるのであって、私が決めるんじゃない。

個人的に不服があったとしても、市場が決めたことが全てです。

私がいくら「おかしい」と叫んでも、天に唾を吐くようなもの。

仮に今後モダンコインブームが、日本から海外に波及する展開になるのだとしたら、今モダンコインを買っている日本人はブームに最初期に乗っかった勝ち組ってことになると思います。

そうなる展開もあり得ない訳じゃないんだし、そうである以上は、その可能性に賭けるのも間違いとも言い切れないと思います。

その結果、勝ったのなら「勝てば官軍」で良いと思うんです。

投資ってそういう世界なんで。

ただ、この記事で書いてきたような構造的な問題を抱えているのがモダンコインという投資商品。

正直言って、期待値かなり低いんじゃないですかね…。(確認:期待値=成功確率×成功時の報酬)

で、こういう期待値の低い投資商品に平気でお金を突っ込むようなことを繰り返していくと、たまたま今回のモダンコインで儲けることができたとしても、長く投資を続けるうちにどんどん負けが込んで資産を失っていくものです。

「麦わら帽子は冬に買え」という格言もあるけど、こと投資に関してはブームに流されて始めたりすると、ロクなことありません。

投資商品を売る側のセールストークを鵜呑みにしたり、周囲の人に流されたりするのではなく、もっと欲深くならずに、地に足付けて、自分の頭で考えて、長期目線で堅実に利益を出す投資をしなきゃいけません。

リーマンショック前の株高局面でもデイトレードがブームになったし、コロナ相場でもレバナス民みたいなのが現れたけど、構造はこの記事で取り上げた英国モダンコイン投資ブームと全く同じです。

株高局面で沸いてきたこの手の俄か投資家が、その後どうなったのかは皆さん良くご存じでしょう。

今モダンコインを有難がって買っている人たちも、恐らく彼らと同じ運命辿るんじゃないかな?